雨の週末

2004年 10月9日 作成



暑く長かった夏が終わり、今は長袖を羽織りそして寒い冬がやがてやってくる
半袖を着ていた少し前、ある場所を訪れた
その場所は以前何度も訪れたことがある
今は小さな建物と昔現役だった頃の設備の一部が今はひっそりと飾られているだけの(取り残されている?)
何の面白みもないところだ
その場所の近くに有名な食べ物屋があり、
そこを訪れる人はたくさんいてもここを訪れる人は殆どいないだろう。
その場所を知ったのは20年以上前、ある専門誌に載っていた
その場所に最初に訪れたのはまだそれらの建物や設備が現役で機能していた頃。
しかし一日に3回しか使われることはなく 訪れた時間帯は誰も人はいなかった。

建物のトイレの木戸を開けて中にはいると半分割れた曇りガラスから
曇った空と雨が見えた
あの日も今日と同じ雨が降っていて雨の音だけが耳に入ってきた
その場所が好きになり、何度も訪れるようになった
知人や友人たちとあるいは一人で、そして好きな人が出来るとその人を誘って
しかし自分自身のジンクスが出来てしまった。
その場所に好きな人を連れて行くと別れてしまう と

今雨が少し強く降り始めた。
ここから少し遠いあの場所も同じ雨が降っているのだろうか?

建物の中に現役だった頃の写真が飾ってある。
現役最後の悲しい記念日 さよなら という文字 たくさんの人が写っていた
その場所を記事にした当時の新聞
もう使われることはない木炭のストーブ
木製の長椅子に座ってストーブにあたりながら、
人々はどんな話をしていたのだろうか

自分の時間が流れていくようにあの場所にも同じ時間が流れている
自分にはせわしない時間が流れていてもあの場所はゆっくりと時間が流れている
知らない者(相手は物)同士が同じ時間を過ごしお互いがそれぞれの歴史を刻み
そしてこれからも同じ時間にそれぞれの歴史を刻み続けていく
共有できる時間は小さいが出会えただけもしあわせだ

半袖を着ていた頃自分自身のジンクスを破れない出来事があった
もう、自分の好きな場所に連れて行くのはやめよう。

週末の午後 窓から雨を見て考える
あの場所を思い出す。
普段は忘れていて落ち込んだときや何かにすがりたいときに
思い出す自分勝手なわがままでも
あの場所はいつでも優しく受け入れてくれる。
何回も訪れた場所 楽しい思い出がたくさんある
ジンクスではないんだ!その逆なんだ
あの場所は楽しい時間と素敵な思い出を作ってくれる
自分を包み込んでくれる場所なんだ!

出会いがあったときまた行ってみよう。
あの場所はその時もやさしく迎えてくれそして見送ってくれるだろう

今もあの場所は静かにゆっくりと時間が流れているだろう。

                       

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